にっこりブログ

30代会社員♀の好きなものや思ったこと

母親になって後悔してる を読んで

母親になって後悔してる オルナ・ドーナト著

数年前の本らしいが、日本語版が最近出たので読んだ。
母になったことを後悔するイスラエル人の女性たち23人にインタビューした結果をまとめた本。
イスラエル合計特殊出生率が3.0で、女性が平均3人の子どもを産む国らしい。(日本は1.4)
日本よりもさぞ産め産めという圧力が強いのだろうなと思いながら読んだ。

私には子どもがいないし、将来子どもを産むつもりもない。
世間では、出産は素晴らしい、親子や家族は素晴らしい、という「常識」があるが、漏れ聞こえてくる声を聞くと本当にそうなのか?と思ってた。
でも、そもそも出産の是非を問うような本ってあまり無いので、そういったものに飢えていたのだろう。
日本語版が出て即Kindleで購入した。

何でみんな子どもを産むのだろう、と思っていたけどこの本を読んで結構腑に落ちた気がする。
元々そうじゃないかと思っていたけどやっぱりそうか、という感じ。
・そういうものだと思っていたから
・母になることで何か変わるのではという気持ちから
・他(パートナー等)からの圧力に負けて
これは母親になって後悔している女性の意見だから偏りがあるかもしれないけど「そういうものだと思っていたから」というのは結構あると思う。
私も「そういうものだと思っていたから」に陥りかけていたので。

自分が何故子どもを欲しくないか、何故母親になりたくないか、という気持ちも整理できた。
例えば以下の記述。

母は、そもそも自己犠牲的で、際限なく忍耐強く、自分の人格や欲求を忘れるほどまでに他者の世話に献身するというイメージなのだ。

そうだよー!となった。
母は強しとかよく言われるが、母親って自己犠牲のイメージが強い。父親はそうでもないのに。
こんなイメージ背負ってらんないよ、というのも理由の一つだなと思った。

本の中で、子どもは素晴らしい子たちだが、戻れるとしたら子どもは絶対産まない、という意見をよく見た。
その気持ちは分かるし本当なのだと思う。
子どもという存在を差し引いても母親という役割の責任の重さが後悔させているのだろう。
百万ドルを持っていて、ベビーシッターに全て任せられたら、という問いにも「関係ない。親は自分。親だから責任は自分にある。責任と苦しみは自分にある。」と回答していた女性もいた。

いまだに過度に出生が賛美されている。
共同体(国とか)側としては出生してもらったほうが都合がいいので出生を賛美することになるのだろうが……
なので、こういった気持ちは吐き出す機会がなく女性にとっては苦しい世の中だな、と思う。
「母親になって後悔してる」気持ちを誰も理解してくれない、というか理解したがらない、という記述もあった。
理解できてしまう自分は人でなしのように感じてしまうのかな(実際は全くそんなことない)。

出生はかなり特殊で、結果として人が生み出される類の行為だから、下手に気持ちをオープンにすると生み出した対象を傷つけることになってしまうから難しい。
でも、この本を読むことでつらい気持ちがいくらか和らぐことになるんじゃないかなと思う。
私にできることなんてあんまりないけど、友人がそういう気持ちを吐露したときには真摯に受け止めて共感したい。