にっこりブログ

30代会社員♀の好きなものや思ったこと

僕の狂ったフェミ彼女 を読んで

こちらも最近日本語訳が出たので読んだ。
韓国の小説。初恋の人に再会したら、彼女はフェミニストになっていた……。という男性目線の話。
男性は、フェミニストって頭おかしい、怖いと思っている「普通の」男性。

すごく面白かった。
今まで出会った男性の行動や言動をトレースしているようで、リアルだなぁと思ったのだ。
是非男性にも読んでほしいけど、これを読んだとして真に伝えたいことが読み取れるのかわからない。
タイトル的にはアンチフェミニストも興味を持ちそうだけど……。

あるあるー!と思うところいっぱいあった。

たとえば、彼女がセクハラをされて憤慨しているところに男性が「またそんなことがあったらいつでも呼べ。半殺しにしてやる」とか吹かすところ。
で、結局そのセクハラ野郎に対峙しても何もできない男性。
彼女を守る!とかいう言葉だけで気持ちよくなってしまう奴って本当いる。
「私はあなたに男らしさを感じさせる道具じゃない」みたいな言葉どこかで聞いたことあるけど本当そうだよ。
私を自慰の道具に使うんじゃない、と思う。
そして守れない約束をするなボケが。

彼女は非婚を宣言しているのだけど、既婚者の前でそう宣言すると

「何か、変な空気になってきたな。とにかく最近非婚とかそういうの聞くと、正直結婚した立場からちょっと……。何か間違った選択をしたって言われてるみたいで。そういう雰囲気じゃないですか。非婚が合理的でリベラルだ、みたいな」

とか言われるわけよ。いやいや、今までというか今も非婚側の方がバリバリ非難されとるがな。
ただでさえ結婚する方が正しい、結婚は素晴らしいという風潮なのに、非婚側が主張することも許されないのか。
文明はいくらか進歩しただろうが、人間としては全く進歩しとらんな。

彼女の

「自分がすごくロマンチックで優しいと思ってるでしょ?あんたの愛し方、可愛がって、女の子扱いして、守るって建前で束縛して、みんなの前で着飾って式上げようってせがんで。私はそういうの望んでないんだって。なのに自分のやり方を強要し続けてるよね。それがどんなに息苦しいかわかる?本当に自分勝手なのはどっち?」

というセリフも、本当わかるー!!!ってなった。
相手が勝手に女の子の枠にはめて、その枠内で可愛がる。
昔、甘いものそんな好きじゃない私にケーキを買ってき続けた男がいて(私は別にいらないと言い続けていた)、最終的にブチギレたな。

本当、あるある!わかる!のオンパレードだった。
彼女はさまざまな批判、反論を受けるのだが、それに対してひとつひとつちゃんと回答していくのがすごい。
あんなに理路整然と反論できない。

でも、特殊なシチュエーションも手伝って男性側も少しは分かろうとはしているようには見えた。理解は進まなかったようだけど。
現実にはそんな男性ってほとんどいないと思うな。
当事者じゃないしフェミニズムなんてどうでもいい、というか邪魔、うるさいと思っている男性がほとんどでしょ。
そんな稀有な(シチュエーションに置かれた)男性ですら

彼女にとってはこんなにも当然なことが、僕たち男にはなぜ理解できないんだろう?それがこの問題のそもそもの悲劇だと思った。だけど実際、わかりたいと思ったこともなかった。それよりはいつもこんなふうに思っていた。「男の方が辛いことが多いと思っていたのに。力仕事もみんな僕たちがやってるし」

という感じ。

内容はすごく良かったけど、やっぱりフェミニズムを推進するのって難しいね、と思った。
本当さ、性加害の話も、

「男がそういうことをしなくなれば、こんな話をしなくて済むようになると思わない?言ってること間違ってる?そうすればあんただって、加害者予備軍扱いされなくていいし」

これに尽きるのですが。 分かってくれないかね。

著者あとがきも訳者あとがきも全て良かった!最高!